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なつゆき。

夏と行き、夏が往き、夏に逝く

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水浴びの庭

 はて。あの白いTシャツはだれのだったろうか。縁側に座って両足を遠くに放り出し、片手でからだを支えながらアイスキャンディーを食んでいた佳主馬はそのままの体勢でふと思った。
 目の前ではかなりおとなげなく、かつ一方的すぎる水遊びがおこなわれている。最初はビニールプールに水を張って真緒と加奈を遊ばせていただけだったのが駄菓子屋で買ってきた水鉄砲をもった真吾と祐平が乱入し、その時点でもう健二の着ているものはびしょ濡れだ。この天候ならすぐ乾くだろうけれど話はそこで終わらない。ちゃちな水鉄砲なんかでは簡便ならんとお昼ごはんを食べにもどってきていて案の定巻きこまれた翔太が口をしぼったホースを健二に向けて蛇口をひねったのだ。ここまで来たらだれの目にもあきらかだ。こないだの一件で芝生が剥けたところが水を受けて泥状態に、そこでお子さま四人組がはしゃぐものだから顔も手も服も泥だらけだ。女性陣が見たら落雷は確実。翔太はいまだにホースの水で追いかけまわしていて、逃げまわる健二が水たまりを踏みつけてはズボンの裾に染みをつくった。
 しゃく、とソーダ味の氷菓が口のなかを冷やしながら溶けていく。今日はガリガリくんじゃなくて中央にバニラ味の芯があるソーダアイスだ。たぶん翔太が買ってきた個人のものだと思うけれどそんなの知ったことじゃない。だって健二といっしょに遊びたいのは佳主馬も同じなのにでもプライドが邪魔してまざれないからこうして待っているのに。アイスひとつじゃあ安すぎるくらいだがほかに請求するものもないのでこれで勘弁してやるのだ。コンビニのビニール袋にはもうひとつはいっていて、いちご味のみぞれもきっちり取りあげておいた。冷凍庫の奥のほうに隠したし名前も書いてあるからたぶん食べられる心配はないだろう。もちろん食べるのは佳主馬じゃない(ひと口ふた口もらうつもりではいるけど)。
 唐突に足もとの沓脱石にまで水が飛んできて佳主馬は反射的に顔をあげた。翔太がホースの口を上にぶんぶんと振りまわしているせいだった。





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サマヲで、日常的な小話
閑話のつもりだったけど流れがわるくなるので隔離
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